2024年4月1日刊行
17・18世紀のドイツ憲法学 17・18世紀のドイツ憲法学
栗城壽夫 著

 17世紀初頭から19世紀初頭にかけてのドイツにおける憲法理論の展開を辿る。
 17世紀初頭,神聖ローマ帝国の憲法が法律家により原理的・体系的に論究されることでドイツ憲法学が独自の学科目として成立し,その理論は,18世紀には一般憲法学において近世自然法論あるいは近世自然法論的要素を基礎とした自然法論的憲法理論へと発展を遂げる。その影響は,ドイツにおける立憲主義を基礎づけ,推進したところに現われただけでなく,君主と国民あるいはその代表とを二元的に対立させる構造がドイツ型立憲主義の基礎とするところにも現われ,いわば19世紀のドイツ憲法理論の原型を打ち出すことへともなる。
 本書では第T部において17世紀のドイツ憲法学の成立の事情および成立期の憲法理論の内容,第U部は18世紀前半の自然法論,第V部は18世紀末から19世紀初頭にかけての一般憲法学の成立・展開,第W部では狭義の憲法学における自然法と実定法の交錯に関し,18世紀後半と現代の論者ごとの見解,さらに19世紀前半の一般ドイツ憲法学へと続く過程を扱う。 →詳細ページへ


2024年3月29日刊行
集会の自由と「場」への権利 集会の自由と「場」への権利
門田美貴 著

 集会の自由は意見表明の自由と並び,民主政において根幹を成す憲法上の権利とされているが,現代の都市空間で集会のために用いる「場」を確保することは困難になり,集会を行い公衆に広くメッセージを伝達することができる場所を見出すことは容易ではない。
 本書では,これまで日本の憲法学でも参照されてきたアメリカにおけるパブリック・フォーラム論および私有地での集会に関するステイト・アクション論の展開を振り返り,アメリカ連邦最高裁の示した機能的等価性メルクマールおよびそれに着想を得たとされるドイツにおける「公共のフォーラム」概念を検討,さらに公共空間の私化や公権力の監視による集会の自由への萎縮効果等の関連する諸問題を扱い,集会に用いる「場」へのアクセスを保障する理論を構築する。 →詳細ページへ


2024年3月25日刊行
保証人の求償と代位 保証人の求償と代位
亀井隆太 著

 他人の債務を担保する保証人が主債務者に代わって債務を履行した場合における主債務者に対する求償,および,弁済による代位に関する制度の法理論・法技術・法的性質を,歴史的観点も含め明らかにする。各法領域における求償権の概念,主債務や担保の移転に関する法技術,弁済に伴う主債務の消滅にかかる問題,一部代位と全額支払の必要性,保証人の免責,そして複数の担保提供者間の代位の問題を扱う。 →詳細ページへ


2024年1月31日刊行
地方史のつむぎ方 地方史のつむぎ方
−北海道を中心に
山本竜也 著

地方史を調べ,聞き,書き,発表する方法は?
これまで北海道の地方史の調査・公表に取り組んできた著者が,炭鉱・鉄道・古地図・女性・先住民族・空襲・武四郎・児童文学・方言・写真など,数々のテーマに取り組む在野研究者・作家・学芸員・大学教員ら24人にインタビューし,彼らの手法を探るとともに,自らの経験から得た地方史の調査方法を存分に伝える。 →詳細ページへ


2023年7月20日刊行
憲法裁判の制度と実践 憲法裁判の制度と実践
工藤達朗・小山剛・武市周作 編

 ドイツの連邦憲法裁判所を中心に,憲法裁判の制度と実践について考察する諸論文を収録。
 近時の日本国憲法の理解や解釈において多く参照されるドイツをモチーフに,第1部では憲法裁判制度についての理論的考察を,第2部ではドイツ連邦共和国基本法(憲法)の第1章・基本権の条文ごとに,リーディングケースとなった判決とそれ以降の実務・判例の考察を行う。 →詳細ページへ


2023年5月15日刊行
女性犯罪研究の新たな展開 女性犯罪研究の新たな展開
−岩井宜子先生傘寿・安部哲夫先生古稀記念論文集
後藤弘子・宮園久栄・渡邉和美・柴田守 編集代表

 岩井宜子専修大学名誉教授の傘寿,安部哲夫獨協大学名誉教授の古稀を祝賀し,2人の所属する女性犯罪研究会が中心となり企画された論文集。同研究会がこれまで研究対象としてきた「女性犯罪研究」,「女性による殺人」,「矯正施設における処遇」,「ファミリー・バイオレンス」,「性犯罪・被害」,「最近の課題と刑事政策」を主題とする論文のほか,女性犯罪の動向やこれに関連した研究成果を整理して,これからの女性犯罪研究の?向性について語りあう「座談会」を巻頭に収録。女性犯罪研究のマイルストーンとなり,かつ10年先を見据えて新たな布石を打つような意欲的な論文集。→詳細ページへ


2023年4月30日刊行
英米法・芸術法の研究 英米法・芸術法の研究
 芸術と法 第2巻
山口裕博 著

 本書は,筆者の長年の研究から,英米法の契約法・損害賠償法理論に関して論ずる論文,さらにアートと法の関係について,法を出発点とする一般的な視点に加え,逆にアートから法への視点から法を分析する可能性を探る論文を収録する。
 表題に掲げる英米法と芸術法の研究は一見して連続性・関連性を有しているとはいいがたいが,英米法における条文に縛られない自由な思考を,現実社会で鋭く対峙する芸術と法を分析する視点に応用する。→詳細ページへ


2023年3月31日刊行
医と法の邂逅 第4集 医と法の邂逅 第4集
いほうの会 編

 医学の発展は日進月歩であり,その実践である医療の役割もまた,質的に変貌し,人々の医療への要求の高まりとともに増加している。常に揺れ動く「医」と「法」が必然的に出会うこととなる社会生活において,「法」はいかなる理論をもって,異なる専門知識と技術を有する「医」と対峙することとなるのか。
 その対象や体系につき議論の途上にある医事法学に取り組む,「いほうの会」のメンバーによる研究論文集の第4弾。 →詳細ページへ


2023年2月28日刊行
アファーマティブ・アクション正当化の法理論の再構築 アファーマティブ・アクション正当化の法理論の再構築
茂木洋平 著

 アメリカ合衆国におけるAffirmative Actionの構造を解明し,日本でのアファーマティブ・アクションの議論に受容可能な部分を明らかにする。
 日本の法学説は「構造的差別の是正手段」としてアファーマティブ・アクションに着目し,「マイノリティが社会的資源を獲得し,マジョリティが社会的資源を喪失し,その獲得のハードルを高められるという」枠組に基づき,アメリカにおけるAffirmative Actionの憲法適合性に関する議論を参照してきた。しかし,政治力の無いマイノリティはAffirmative Actionの対象者から外され,指導的地位において過小代表に陥り,このことにより偏見や固定観念が助長される場合があり,Affirmative Actionは「差別是正策」としての側面だけでは理解できない。合衆国最高裁は,Affirmative Actionが「人種的分断を防ぎ,統合を促進する」という観点からその措置を正当化しており,本書はこれらを精緻に検証し,日本での法的議論を再構築する必要性を主張する。 →詳細ページへ

2022年10月25日刊行
アファーマティブ・アクションの正当化と批判の憲法理論 アファーマティブ・アクションの正当化と批判の憲法理論
茂木洋平 著

 アメリカ合衆国と日本の背景の違いを考慮し,アメリカの平等保護条項の解釈とAffirmative Actionの正当性をめぐる議論の中で受容可能な法理論を明らかにし,日本におけるアファーマティブ・アクションの正当性を検討する。
 アメリカにおけるAffirmative Actionとは,対象者に(学校の入学枠,雇用,公共事業契約などの)社会的資源を付与し,対象外の者に社会的資源の獲得のハードルを高める施策である。日本の学説は構造的差別の是正策としてアファーマティブ・アクションの導入を提唱し,アメリカの「疑わしい区分」や「スティグマ」の理論を参照してきた。だが, アメリカでは, Affirmative Actionによってマイノリティが不利益を被ることもあり, マイノリティが受益者となりマジョリティが費用の負担者であるという構図は成立しない。アメリカのこの現状に焦点を当て,本書では,司法審査の内実の日米比較を足掛かりに,アメリカで平等保護条項解釈の基礎となるカラーブラインド理論を掘り下げ,日米に共通して抵触する個人主義との関係を論じ,さらに時間的な制約を設ける必要性を解明することで,アファーマティブ・アクションを正当化する法理論を検討する。 →詳細ページへ

2022年10月1日刊行
現代アメリカ環境法 現代アメリカ環境法
ジェームズ・サルズマン / バートン・H・トンプソン Jr. 著
正木宏長 / 上床悠 / 及川敬貴 / 釼持麻衣 編訳


 アメリカの環境法分野における規制的仕組みの基礎をなす重要な概念と争点を全体像とともにわかりやすく提示し,さらに,主要裁判例・法令を法政策的観点から解説する教科書の翻訳。
 グローバルな気候変動や大気汚染,水質汚染,有害物質,地下水枯渇,乱獲,エネルギー事情といった環境に関わる個々の問題に対し,科学的不確実性,市場の失敗,スケールの問題,認知的バイアス等に基づく意見の不一致により,法的な解決策を導き出すことは困難を極める。本書はこれら通底する主題と争点,基礎的な概念を総論として,アメリカにおける汚染に関する諸法と自然資源に関する諸法,さらには環境配慮のための環境影響報告を要求する国家環境政策法を各論とし,個々の法規定の解釈や判例読解にとどまらない法政策志向の解説を行っている。 →詳細ページへ

2022年9月30日刊行
現代に生きる国際法 現代に生きる国際法
長田祐卓・齊藤功高・野澤基恭・中田達也・松本祥志 編

 理論が先行しがちな国際法を現実に照らした視座から解説し,目まぐるしく変化する世界の動きと問題へアプローチする教科書。
 各章冒頭の【学習のポイント】から「なぜ,どうして」「どうすればいいの」という問いを立て,世界の政治・経済・社会・文化の変化が時代の流れとともにルール・規範として収斂して最終的に確立していく国際法が,いかなる役目を担うのか,そして,問題を抱える国家・国際機関がいかに対応しているのか,特に現実・実務に即した視座から解説する。→詳細ページへ


2022年9月30日刊行
医薬分業のための疑義照会 医薬分業のための疑義照会
−実態調査より
十万佐知子 著

 医師等が交付した処方箋に疑わしい点がある際に薬剤師が行う疑義照会は薬剤師法上の義務であるが,医薬分業の流れが進み,患者が持つ処方箋が医療機関から薬局へたどり着くまでのタイムラグ等により,院内調剤を想定していた法律の規定に従った疑義照会ができないために薬剤の交付が困難となるケースが数多く生じている。 本書は薬剤師の業務や,医薬分業と疑義照会の関係をそれぞれの成り立ちから解説したのち,全国970店舗以上の薬局薬剤師へ行ったアンケート結果から疑義照会の実態・問題点を明らかにし,疑義のスムーズな解決とよりよいチーム医療のための制度形成へ検討材料を提供する。→詳細ページへ


2022年7月31日刊行
親族法・相続法【第6版】 親族法・相続法【第6版】
吉田恒雄・岩志和一郎 著

 「発展・変化を続ける社会の中で,絶えず新たに生じる家族に関する諸問題へ対応する法解釈の途をさぐり,変動する価値観に沿った法のあり方を積極的に提示するのが親族法・相続法の解釈学の任務である」(はしがきより)。
 学部講義の理解をサポートするテキスト。「論点」目次の採用で,自習にも最適。
 今次の改訂では,2020年成立の生殖補助医療と関連する民法の特例法,所有者不明土地の発生防止と関連する民法および不動産登記法の2021年改正,児童福祉法の2022年改正の内容を,2023年4月以降の施行に先立ち反映させて解説するとともに,法制審議会による嫡出推定および嫡出否認制度に関する2022年発表の改正要綱,同審議会家族法制部会における離婚後の親権や監護,養育に係る規定に関する審議の動向にも触れて記述を改めている。 →詳細ページへ


2022年5月20日刊行
民法入門U 物権法 民法入門U 物権法
松原孝明・堀川信一 編

 民法を「広く 浅く 最後まで通しで」学ぶ。
 民法の基本的構造を広く捉えるための初学者用テキスト。積上げ型の学習の最も基礎となる部分を,著者達の豊富な教育経験から得られた知見を盛り込みながら解説していく。第U巻では物権法分野を扱う。 →詳細ページへ


2022年4月30日刊行
民法入門0 ウォーミングアップ編 民法入門0 ウォーミングアップ編
松原孝明・堀川信一 編

 民法の基本的構造を広く捉えるための初学者用テキスト。民法の各分野を「広く 浅く 最後まで通しで」学ぶことを目的とした入門書シリーズ,各巻の内容をさらに凝縮し全分野を俯瞰する。民法の大枠や構造を捉えることを目標とし,著者達の豊富な教育経験から得られた知見を盛り込みながら平易な解説に努めるとともに,章毎のまとめを章末に配置するなど,法学部以外の学生,民法を学び始めた初学者の使用を想定したつくりとなっている。 →詳細ページへ


2022年3月31日刊行
立法裁量と過程の統制 ―現代憲法研究Y―
立法裁量と過程の統制
山本真敬 著

  立法者の制度形成に対する裁量の統制として注目される「判断過程統制」論を検討する。
 参議院「1票の較差」訴訟2004(平成16)年最高裁判決「補足意見2」で登場した「判断過程統制」論は,行政裁量の領域において定着しつつあった手法を立法裁量の統制に応用するものとして憲法学において期待を集めたが,最高裁ではその後,この手法は立法者の「真摯な努力」に着目する議論へと変容した後に姿を消してゆく。本書は,これら手法を近時の立法者の「努力」の評価という問題をも含めて丹念に追うとともに,判断過程統制として議論されるものを「違憲の主観化」という問題をはらむ時宜適合審査型と行政裁量の判断過程統制に類似した考慮要素審査型に分類し,類似性が指摘されるドイツ連邦憲法裁判所における「主張可能性の統制」や行政裁量の統制論との比較検討を行い,それぞれの理論的含意と限界を明らかにする。 →詳細ページへ



2022年3月1日刊行
子ども虐待の克服をめざして 子ども虐待の克服をめざして
―吉田恒雄先生古稀記念論文集

鈴木博人・横田光平 編

 児童虐待防止法制度の研究者であり多くの関連法制の公的審議会・委員会に参画した吉田恒雄駿河台大学名誉教授の古稀を祝し,児童福祉法研究会のメンバーを中心とした実務家・研究者により企画された論文集。同会の研究成果の一断面を世に示す。 →詳細ページへ


2021年12月1日刊行
新・法と社会生活【第6版】 新・法と社会生活【第6版】
有澤知子 著

 社会生活における様々な事象を素材に,法学の基礎的知識を提供するテキスト。交通事故とトラブル,そして福祉と法,科学技術と法,女性と法など,現代的なトピックも扱う。 →詳細ページへ


2021年11月30日刊行
地理的表示法制の研究 地理的表示法制の研究
荒木雅也 著

 生産地と産品との結び付きが肯定される場合に産品の産地名称に保護を与える地理的表示制度に関する法的課題を論ずる。  世界各国の地理的表示保護に影響を与えるEU規則やTRIPS協定において問題となる「結び付き」の定義,商標制度との比較において際立つ「追加的保護」「普通名称化の阻止」といった機能の抽出を端緒とし,EUにおけるPDO(保護原産地呼称)とPGI(保護地理的表示)の展開を概観したのち,PGIに相当する日本の「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」による登録手続における関係者間の合意形成の問題や,国際規格・独占禁止法等の地理的表示保護との緊張関係について検討する。 →詳細ページへ


2021年11月1日刊行
立憲国家の制度と展開 立憲国家の制度と展開
―網中政機先生喜寿記念

小山剛・伊川正樹・渡邊亙 編

 網中政機名城大学名誉教授の喜寿を記念し編まれた論文集。公法学者18人による渾身の論文に加え,特別寄稿として5本のエッセイを掲載。 →詳細ページへ


2021年8月31日刊行
情報収集解析社会と基本権 情報収集解析社会と基本権
海野敦史 著

 社会全体のデジタル化により,各人を事実上モニタリング(監視)するような機能を果たす情報の精緻な分析・解析が恒常的に行われるようになり,その手法も多様化しつつある。憲法が保護するさまざまな権利・利益,とりわけ,基本的な自由及び自律的な行動を支えるプライバシーや萎縮効果を受けやすいとされる表現の自由がどのように確保されるのかということが,正面から問われ直す局面を迎えている。
 本書は,従前の通説的な考え方が必ずしも所与となるものではないという問題意識に立ち,特に刑事手続に関する憲法35条1項が「私的領域に『侵入』されることのない権利」を保護することに着目したプライバシー保護に関する憲法解釈論を示し,また,表現の自由の保障のあり方を,公権力・表現者という2者のみならずプラットフォーム事業者を含めた多面的な関係の中で捉えなおして営利的表現・匿名表現といったキーとなる場面につき検討を加える。→詳細ページへ


2021年7月30日刊行
現代行政法を問う 現代行政法を問う
小林博志 著

 行政法の領域で重要な意義を有しながらも,学問・実務においてほとんど理論的な検討がなされていない問題を扱い,現代の行政法に新たな視点を提供する論文集。
目次抜萃:分村,分町及び分市と住民投票 / 経由機関の研究 / 許認可又は免許の更新 / 行政活動における台帳,名簿及び帳簿 / 裁決主義 / 不明所有者と裁定──土地所有者不明問題から →詳細ページへ


2021年4月30日刊行
民法入門V 債権法 民法入門V 債権法
松原孝明・堀川信一 編

 民法を「広く 浅く 最後まで通しで」学ぶ。2020年4月施行民法に対応
 民法の基本的構造を広く捉えるための初学者用テキスト。積上げ型の学習において最も基礎となる部分の理解のために,著者達の豊富な教育経験から得られた知見を盛り込みながら解説していく。第V巻では債権法全分野を1冊で網羅する。 →詳細ページへ


2021年4月4日刊行
流通と法〔新版〕 流通と法〔新版〕
野木村忠度 著

 商学と法学の学際領域にある「流通政策」を,効率性を志向する流通に関する理論を基礎として,安定性・普遍性を志向する法律的なアプローチとの整合を図りながら論じる。常に変化を続けている流通とそれを正しい方向性へと導く流通政策の在り方を探求するテキスト。 改訂に際し旧版の内容から第3章・第8章の2章を新たに独立させ,詳述した。 →詳細ページへ


2020年11月30日刊行
イレズミと法 イレズミと法
−大阪タトゥー裁判から考える
小山剛・新井誠 編

  日本において「イレズミ(入れ墨,刺青,タトゥー)」は近代よりもはるか昔から存在している一方,施術による健康へのリスクが指摘されるほか,現代社会では一定のスティグマが存在し,イレズミを理由に就学・就業や公共の場所の利用を拒否されることがあり,タトゥーのある訪日外国人の受入れに苦慮する等の事態も生じている。本書は,この問題が特に先鋭化した大阪でタトゥーの彫師が医師法違反により逮捕されながら無罪となった事件を契機として,イレズミをめぐる文化・歴史的経緯を見据えながら,現代のタトゥー規制の問題について憲法学・医事法学等の法律学の視点から総合的に検討する。さらには今後求められている制度設計等につき,比較法的視座を広く提供する。タトゥー裁判の弁護団の寄稿も掲載。 →詳細ページへ


2020年6月30日刊行
アメリカ憲法の群像−裁判官編 アメリカ憲法の群像−裁判官編
山本龍彦・大林啓吾 編

 アメリカにおいて憲法秩序の形成に大きな影響を与えている連邦最高裁裁判官に光を当て,裁判所の内外で活躍するかれらの人物像を描き出しながら,その信念に基づき打ち出された法理論を考察する。
 アメリカ憲法研究会による研究成果,理論家編に続くシリーズ第2弾。→詳細ページへ


2020年3月30日刊行
民法入門T 民法総則 民法入門T 民法総則
松原孝明・堀川信一 編

 民法を「広く 浅く 最後まで通しで」学ぶ。2020年4月施行民法に対応
 民法の基本的構造を広く捉えるための初学者用テキスト。積上げ型の学習において最も基礎となる部分の理解のために,著者達の豊富な教育経験から得られた知見を盛り込みながら解説していく。シリーズ1冊目として,民法総則分野を扱う。 →詳細ページへ


2020年3月30日刊行
新たな薬事制度を求めて 新たな薬事制度を求めて
−日独法制度の比較から
明治大学ELM・明治大学法学部比較法研究所 編

パラダイムシフトの只中にある薬事制度,特に医薬品に関する現在の法制度を俯瞰,さらに明治期以降,医と法の両者の制度が共通して参照し続けてきたドイツとの比較を通し日本の制度の現在地を確認し,将来に向けた制度設計に備えることを意図する。
 2019年3月21日,明治大学駿河台キャンパス・グローバルホールにて開催された国際シンポジウム「医薬品・医療機器をめぐる日独諸制度の比較」の内容を編集・収録。 →詳細ページへ


2019年10月1日刊行
合法性と正当性 合法性と正当性
岩間昭道 著

憲法典が定める規範には反しながらも,政治的・社会的・倫理的観点から正当と評価されるような措置,つまり,合法性と正当性が乖離しているような措置にたいして, 日本国憲法のもとではどのように対応するのが妥当かという憲法政治の根本に関わる問題について検討する表題論文を含め,著者の長年の研究主題である憲法改正,緊急権,憲法解釈の方法と限界, 平和主義などに関する近年の論考を中心にまとめた論文集。 →詳細ページへ


2019年7月31日刊行
親族法・相続法【第5版】 親族法・相続法【第5版】
吉田恒雄・岩志和一郎 著

 2018年相続法改正,2017年債権法改正へ完全対応
 「発展・変化を続ける社会の中で,絶えず新たに生じる家族に関する諸問題へ対応する法解釈の途をさぐり,変動する価値観に沿った法のあり方を積極的に提示するのが親族法・相続法の解釈学の任務である」(はしがきより)。
 学部講義の理解をサポートするテキスト。「論点」目次の採用で,自習にも最適。
 今回の改訂では,債権法改正と相続法改正に完全対応したほか,成年年齢規定・特別養子規定については現行規定と新規定を並列する形で扱っている。 →詳細ページへ


2019年4月30日刊行
エレメンタリー法学・行政学 エレメンタリー法学・行政学
−教養から専門へ
茨城大学法学メジャー 編

基礎的概念の理解を目指すとともに,現代社会に生起する最先端の問題から法学・行政学を眺める。
 法学と行政学の初歩的な知識を体系的に,そして両者を融合的に解説する入門書。執筆者の専門分野から各領域を見通す構成。大学教養課程での学習,一般市民の教養を想定。 →詳細ページへ


2019年4月4日刊行
流通と法 流通と法
野木村忠度 著
野木村忠邦 監修


 商学と法学の学際領域にある「流通政策」を,効率性を志向する流通に関する理論を基礎として,安定性・普遍性を志向する法律的なアプローチとの整合を図りながら論じる。常に変化を続けている流通とそれを正しい方向性へと導く流 通政策の在り方を探求するテキスト。 →詳細ページへ


2019年1月10日刊行
女性に対する暴力 女性に対する暴力
―被害者学的視点から

秋山千秋 著

 女性が男性優位社会において,性支配と階級支配の下に置かれてきたこと,すなわち,そこで形成されたジェンダーバイアスが,女性に対する暴力を生む要因であるという問題意識から,被害者学の知見に基づき,女性に対する暴力を研究。性暴力犯罪,配偶者からの暴力,ストーカー犯罪を分析し,その根絶のために,女性に対する暴力についての包括的な法律の立法の必要性を訴える。 →詳細ページへ


2018年12月21日刊行
医と法の邂逅 第3集 医と法の邂逅 第3集
いほうの会 編

 医学の発展は日進月歩であり,その実践である医療の役割もまた,質的に変貌し,人々の医療への要求の高まりとともに増加している。常に揺れ動く「医」と「法」が必然的に出会うこととなる社会生活において,「法」はいかなる理論をもって,異なる専門知識と技術を有する「医」と対峙することとなるのか。
 その対象や体系につき議論の途上にある医事法学に取り組む,「いほうの会」のメンバーによる研究論文集の第3弾。 →詳細ページへ


2018年11月15日刊行
児童福祉と司法の間の子の福祉 児童福祉と司法の間の子の福祉
―ドイツにみる児童虐待防止のための諸力連携

岩志和一郎 編著

 連邦憲法裁判所は,親による養育の優先,国家による監視と支援という憲法要請の基礎に在るものが,子が人格の自由な発展に関する固有の権利の主体であるという理解をし,それを基軸として構成されてきたドイツの児童保護システムは,まさに子が親の下,すなわち家族的な関係の下で,自己責任を備えた人格へと成長する権利を保障しようとするものであることがわかる。このような考え方は,わが国においても共有し得るものである。そのように考えられる中,法律状態やインフラに関する彼我の差異は認めつつも,ドイツの動向に目を向け続けることは,わが国の今後の児童虐待対応を考える上で,有意な示唆を与えてくれるであろう。 →詳細ページへ


2018年5月15日刊行
通信の自由と通信の秘密 通信の自由と通信の秘密―ネットワーク社会における再構成
海野敦史 著

 通信の秘密及びその前提となる通信の自由をめぐる現代的諸課題について,比較法的視点を交えながら解釈論的・立法論的考察を加える。
 憲法21条2項後段に規定される通信の秘密をめぐる解釈論は,郵便や固定電話が通信の主役だったかつての時代に確立されたものが現在においても大筋において踏襲されているが,時代の変化に応じて通信が果たす役割も拡大し,各人における通信との関わりの度合いも変容している。花形的な表現の自由の背後で,通信の秘密は陰をひそめたまま,伝統的な解釈が適切に修正されない状況に取り残されているようにみえる。
 本書は,議論の前提として表現の自由をはじめとした各基本権との関係を踏まえた「通信」の概念を明確化しつつ,「コモンキャリア」概念の再構成を行ったのち,送信防止措置,通信記録の保管,位置情報収集,新種の犯罪捜査等先進的論点を検討,さらには,公権力とともに通信の自由・秘密の保護を担う通信管理主体に焦点を当て,その範囲・法的責任について論じる。 →詳細ページへ


2018年5月10日刊行
みんなが知らないネパール みんなが知らないネパール―文化人類学者が出会った人びと
三瓶清朝 著

 著者がネパールに現地調査をおこなったさいに出会ったカースト身分の違う男女7人の級友たちとの対話やその暮らしぶりや出会ったときの思いがけず起こったできごとをそれぞれ個人的に細かく描写。それを通してネパール民族の思考様式や行動様式をうかがい知ることを目標に書かれた調査旅行記である。 →詳細ページへ

2018年4月20日刊行
刑事政策【第7版】 刑事政策【第7版】
岩井宜子 著

実効的な犯罪統制のために,犯罪現象に関する実証的な知識を提供
 刑事政策の講義用テキストブック。
 各種データを最新のものへと改めるとともに刑事政策関連の多岐に渡る法の改正・動向を反映し,改訂。犯罪学に関する記述おいては,脳科学の知見を取り入れたほか,少年法に関する章は構成を改め,手続の流れをより明確に表すものとなった。


2017年12月26日刊行
財産権の憲法的保障 ―現代憲法研究X―
財産権の憲法的保障
平良小百合 著

 法律によってその内容が形成される財産権に,憲法上保障が及ぶとはどういうことかという問題意識の下,ドイツの議論を精緻に検証し得られた知見を基に,日本における財産権の憲法的保障論の再構築を試み,また,財産権の保障構造に適合的な裁判所による審査がどのように行われるかについても考察する。 →詳細ページへ


2017年4月1日刊行
インターネット・「コード」・表現内容規制 インターネット・「コード」・表現内容規制
小倉一志 著

 憲法的価値としての「表現の自由」と,インターネット上の表現内容を規制する国内外の法律・条例,さらには法以外の規制要素となるアーキテクチャとして作用しうるソフトウェア等の「コード」との関係を論ずる。収録の論攷では,アダルトコンテンツ・名誉毀損的表現・差別的表現,プライバシーを侵害する表現,インターネットにおける選挙運動・電子投票,身元識別情報の開示に対する上記の規制に対し,具体的な検討を加え,リアルスペースとの異同を明らかにしながら,規制と表現の自由の適切なバランシングを追究する。 →詳細ページへ

2017年3月31日刊行
性風俗と法秩序 性風俗と法秩序
陶久利彦 編著

 合法・非合法の境界線上に浮遊しながらも,法学においては見逃されがちだった性風俗にまつわる問題群を論じる。
 性風俗にまつわる問題は,法学者にとって潜在的には関心の対象ではあるものの,性そのものの秘事性の為に正面切って扱うのはためらわれる分野であるかもしれない。しかし,自由,道徳,正議論といった古典的論題に対し,「害」を理由とした性風俗規制は限界事例を提供するものであり,また,人が性から離れて生を全うしえないにもかかわらず法的扱いは曖昧なままとなっている重要なテーマといえる。本書では,ほとんどの国や地域で歴史的に豊富な蓄積がある売買春規制を中心に,関連問題や原理的考察を扱い,今後の研究の端緒として法学界全体に問いを投げかける。 →詳細ページへ

2017年2月25日刊行
基本権の展開 基本権の展開
石村修 著

 憲法学における基本権論の諸相を改憲論との距離を念頭に置きながら,基本権の意義・体系,また,そこにおいて絶対的基本理念であると同時に多様な社会現象に対し客観原則となる「生きる権利」,さらに基本権と環境等の国家目標との関係について,論じ,纏める。 →詳細ページへ

2017年1月20日刊行
古代ギリシアと社会学 古代ギリシアと社会学―マルクス・ヴェーバー・デュルケム
ジョージ・E・マッカーシー 著
樋口辰雄 / 田上大輔 訳


 本書は19世紀社会理論の根源を古典期ギリシアに求め,古典的ヒューマニズムの影響下にあったカール・マルクス,マックス・ヴェーバー,エミール・デュルケムの理論の再定位を行う。彼らがギリシアの哲学,芸術,そして政治から受けた刺激は看過されてきたが,社会理論家達が忘れてしまった古代の人々の夢や失われた地平を掘り起こし社会学と哲学の密接なつながりを明らかにすることによって,現代社会科学の方法,理論,アプローチへの新しい洞察を提供し,社会学の本質と役割を問い直す。 →詳細ページへ

2016年12月26日刊行
人と動物の政治共同体 人と動物の政治共同体―「動物の権利」の政治理論
スー・ドナルドソン / ウィル・キムリッカ 著
青木人志 / 成廣孝 監訳


 従来の動物の権動論や,動物福祉論に基づく動物保護の政治的・理論的な行き詰まりの打開を目指し,「拡張された動物の権利論」に基づく新たな枠組みを示す。
 著者たちは従来の動物の権利論で主張されてきた普遍的な基本的・消極的権利(〜されない権利)に頼りきったアプローチの限界を指摘,人間と動物の混合コミュニティにおける積極的・関係主義的な権利の承認・人間の義務を導出することを試みる。伝統的な道徳的議論から政治理論の領域での議論へとシフトさせ,人間社会や制度とそれぞれの動物との相互作用・相互依存といった多様な関係に着目して,沢山の例証をあげながら伴侶動物を含む家畜動物,野生動物に加え,人間の生活環境を自ら利用している境界動物,それぞれについて政治学的概念を応用し,独創的な「人間と動物の政治共同体(Zoopolis)」の構想を示す。 →詳細ページへ

2016年11月30日刊行
現代統治構造の動態と展望 現代統治構造の動態と展望―法形成をめぐる政治と法
川ア政司・大沢秀介 編

 1980年代後半から現在に至るまで,冷戦構造の終結,財政状況の悪化やグローバル化の進展等に伴う先進民主主義諸国での統治構造の揺らぎや変容が指摘されている。 本書では憲法学の立場から,憲法秩序の中で錯綜する「政治と法」にかかわる問題につき,法形成にまつわる制度・機関・問題状況や両者の関係に焦点を当て,欧米諸国と日本の統治システムの動態について横断的な比較分析を試みる。 →詳細ページへ

2016年8月1日刊行
「憲法上の権利」の作法 第3版 「憲法上の権利」の作法 第3版
小山剛 著

 実際の憲法(基本権)問題の判断において必要とされる論理構造を解き明かす。 防御権の「原則−例外関係」を前提とした「三段階審査」,原則−例外を観念できない積極的権利の「下限の統制」,制度に依存した権利の「制度準拠審査」など,『憲法上の権利』の論証作法を広く示すとともに,判例との理論的整合を図る。
 今次の改訂では新版刊行以降の新判例(堀越事件,婚外子法定相続分平成25年決定,夫婦同氏規定判決,再婚禁止期間訴訟等)を織り込み,権利性の否定,制度準拠審査,「事情の変化」論の記述を大幅に改める。 →詳細ページへ


2016年7月1日刊行
違憲の憲法理論と解釈 違憲の憲法理論と解釈
古野豊秋 著

 「憲法」の理論や解釈に「限界」というものがないのか,もし「限界」があるとすれば,それは何なのか,そしてそれを判断する規準は何か,という問題意識の下,ドイツの学説における憲法理論および憲法解釈や裁判所の憲法解釈を丹念に読み解き,批判を加える。また,ケルゼニストとして,ハンス・ケルゼン研究に関する論文を収録。 →詳細ページへ


2016年5月1日刊行
新・スタンダード憲法【第4版補訂版】 新・スタンダード憲法【第4版補訂版】
古野豊秋・畑尻剛 編

 学部講義・公務員試験・各種資格試験向けの,コンパクトな憲法の概説書。
 今回の改訂では2015年までの判例,法令の変更に対応。判例セレクトを4件増やし,最新の判例を詳述。 →詳細ページへ


2016年4月1日刊行
新・法と社会生活【第5版】 新・法と社会生活【第5版】
有澤知子 著

 社会生活における様々な事象を素材に,法学の基礎的知識を提供するテキスト。交通事故とトラブル,そして福祉と法,科学技術と法,女性と法など,現代的なトピックも扱う。 →詳細ページへ


2015年9月30日刊行
憲法基本判例−最新の判決から読み解く 憲法基本判例−最新の判決から読み解く
辻村みよ子・山元一・佐々木弘通 編

最新の重要判決に焦点を当て,従来の憲法基本判例を新たな視点から「読み解く」。日本国憲法史上の憲法訴訟の展開が理解できるように,既存の判例研究を超える新たな視点と理論を提示しつつ,徹底した「読みなおし(再定位・再理論化)」を図る。気鋭の若手,中堅研究者が執筆陣として集結。 →詳細ページへ


2015年9月30日刊行
医と法の邂逅 第2集 医と法の邂逅 第2集
いほうの会 編 小西知世・佐藤雄一郎 編集委員

 医学の発展は日進月歩であり,その実践である医療の役割もまた,質的に変貌し,人々の医療への要求の高まりとともに増加している。常に揺れ動く「医」と「法」が必然的に出会うこととなる社会生活において,「法」はいかなる理論をもって,異なる専門知識と技術を有する「医」と対峙することとなるのか。
 その対象や体系につき議論の途上にある医事法学に取り組む,「いほうの会」のメンバーによる研究論文集の第2弾。 →詳細ページへ


2015年6月15日刊行
移住女性と人権 移住女性と人権―社会学的視座から
佐伯芳子 著

 本書は,国の外国人労働者の受入れ政策と現実の労働現場での狭間で働く移住女性の問題を取り上げる。
 日本が真の国際世界で平和と人権の具体的イニシアティブをとるためには,人間の生きる糧の部分である労働を中心に据え,移住労働者の生活を垣間見ることにより,問題を考えることが必要であろう。
 著者は,フィールドを通して,とりわけフィリピン移住女性に寄り添い,問題を浮き彫りにする。 →詳細ページへ




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